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メッセージ

薬理学とは?

薬理学という学問領域は、“薬物が生体機能に与える影響を学ぶ学問”と定義されています。「薬物」という言葉には、化学物質という意味合いも含まれており、広い意味では“化学物質が生命活動を変化させるメカニズムを学ぶ学問”と言えるかもしれません。この中には、有害物質が生体に様々な悪影響を与えることも含まれます。しかしながら、私たち薬学の世界での「薬理学」は、もう少し医療を意識した意味を持っており、“医薬品が患者さんの体の中でどのように作用して治療効果を示すのかを学ぶ学問”と言えると思います。簡単な言葉で言い換えると「薬はどうして効くの?」を学ぶ学問で、私たちは薬理学が薬学の本質に迫る重要な領域の一つであると考えています。薬剤師国家試験においても、古くから「薬理学」が独立した科目として存在し続けていることも、薬理学の重要性を示しています。

薬理学の位置づけ

薬学において、薬理学はどのように位置づけられているでしょうか。一般に薬剤師を目指して勉強をする薬学生は、下図にあるような順序で学んで行きます。他の多くの学問領域と同じように薬学も基礎から積み上げてゆく学問です。

その中で薬理学は、健康な状態から逸脱した状態(病気の状態)を、薬(あるいは新規の化合物)を用いて、どのようにして正常な状態に戻すかをテーマにしています。より安全で効果の高い薬や化合物を見つけ、その明確なメカニズムを立証してゆくことが目的です。従って、薬理学を学ぶということは、その基礎になる解剖学・生理学・病態学が身についていることも求められることになります。
薬理学で見いだされた薬の効果は、その後、薬物治療学や臨床薬学などによりその用量や用法、安全性、安定性などを精査され、最終的には個々の患者さんのもとに届けられることになります。

薬理学部門について

薬学部・生体制御機能薬学講座・薬理学部門(以下、薬理学部門)は、薬学部における薬理学分野の講義、演習、実習を主に担当しています。対象は、薬学部2年生~6年生と幅広く、学生の皆さんの薬理学的能力向上を目指して教育を行っています。併せて、【研究内容紹介】にあるように、生活習慣病に関連する様々な基礎的研究を通して、病態の解明や新たな治療ターゲットの発見に向けた先進的な検討も進めています。
薬理学部門(旧・薬学部薬理学教室)は、百瀬 和享教授、本田 一男教授が長年にわたり主任教授として運営されてきました。2015年3月の本田教授ご退任に伴い、野部 浩司(昭和大学・薬学部23回生)が部門長(教授)として着任いたしました。現在、柴田 佳太准教授、古林 創史講師、篠内 良介助教と共に薬理学部門の運営を行っています。 

薬理科学研究センターについて(薬学部学生の皆さんに向けて)

薬理学部門は、2015 年より昭和大学・薬理科学研究センター(以下、薬理センター)を構成する研究室の1つとなりました。薬理センターは、医学部・医科薬理学講座、歯学部・歯科薬理学講座、薬学部・毒物学部門、そして薬理学部門の4つの研究室により構成されています。教員&大学院生を含めると40名を超えるこの薬理センターでは、各学部の枠を超え、機器や設備の共通化などハード面だけでなく、セミナーやミーティング、共同研究の企画などソフト面を含めた研究・教育活動を行っています。私ども薬学部薬理学部門としては、薬学をベースにした薬理学の専門家として薬理センターに参画するだけでなく、様々な背景をもつ他学部の薬理学専門家から様々な意見やアドバイスを受け、広い視野に立った薬理学部門を構築・運営しています。

薬理学部門での研究活動について(テーマ選択の学生さんへ)

薬理学部門では4年次の「薬学研究入門」で約10名の研究指導を行っています。5年次および6年次における「薬学研究」の期間においても個別のテーマを設定して、基礎から臨床まで多彩な研究を行っています。それらの研究には、薬理科学研究センター(薬理センター)を構成する医学部、歯学部、あるいは各研究所の研究テーマも含まれています。そのため、薬学生は幅広い薬理学領域から興味のあるテーマを選択することができます。さらに、薬学部の教育職員だけでなく、医学部、歯学部の教育職員から直接研究指導を受けることになり、研究の視野や薬学以外の人の輪が格段に広がってゆきます。
テーマ選択の学生さんには薬学部の学生としてだけでなく、薬理センターのメンバーとしての活動も求められます。研究室内のマナーやルール、他の教育職員やスタッフと良好な関係を築くことが必要で、それはどのような職場で働いても不可欠のスキルです。研究期間中にはこのような学修以外の「社会人としての基礎力」も身につけてほしいと考えています。また、薬理学部門では定期的に「薬理学セミナー」を行っています。大学院生だけでなくマルチドクター(MD) プログラムの薬学生も参加し、学年や立場を越えての討論や学修を行っています。現在は中段を余儀なくされていますが、定期的な懇親会やスポーツイベントなど「チームビルディング」になるような企画を多数用意しています。“ON”-“OFF”をしっかり使い分けて研究期間を有意義かつ楽しく過ごしていただきたいと願っています。

その他

薬理学に興味を持ち、将来は大学教員として研究・教育に携わりたいと考えている学生さん(既卒・新卒共に)を大募集しています。大学院博士課程、その後の進路について全面的に協力いたします。遠慮無くご相談ください。

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